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「よし、んじゃ帰るか」
そういえば清水くんは何しに教室に戻ってきたのだろう。
私は聞いてみようと思い止めた。多分自分で蹴飛ばした机を戻しにきたのだろう。
可愛い人なんだと思った。
私はやっと席から立つことができ、カバンを持って教室を出ることができた。
「なぁ」
「ん?」
「俺の背中に隠れるの止めてくんね?」
「え?あ…………ごめんなさい」
私は無意識に清水くんの背中に隠れていた自分に驚いた。
でも、あの背中はとても「安心できる背中だったから……」
「え?」
「ん?」
あ、あれ、私何か…………ん?あれ?まさか声に出てたかな?
「どうした?顔赤いぞ?」
「な、なんでも……なんでもないでずぅー」
「なんで泣くんだよ!おい!!」
私は癖で恥ずかしいことがあると涙が止まらなくなる。治さないとなぁとは思うのだけどなかなか癖は治らない。
無意識の内に出てしまう。
「グズッ……」
「たく、ほれティッシュ、これで鼻かめ」
私はティッシュを受けとると鼻に当ててチー!!とかんだ。
「清水くんありがとう……」
「なんだよティッシュくらいで」
「ううん、違うの……今日ね私不安で不安でたまらなかった……結果的にあまり変わらなかったけれどとても楽しかった……不安がほとんど無かった……だから、ありがとう」
スラスラと言葉が浮かびあがってきて口から出ていった。
「なんだよそれ……俺の方が……」
「ん?」
「なんでもねぇよ!」
私は早歩きで歩いていく清水くんを追いかけ、やっぱりこの大きな背中に落ち着いた。
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