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何も考えてないと、授業に全く集中できないんだと今日初めて知った。
「地縛霊さーん」
私の肩を誰かが叩いた。
この声は……。
聞き覚え「よ、行こうぜ」
「子賀くん……」
子賀くんだった。
子賀くんは私に手を差し伸べてくれる。
嬉しいけど……子賀くん……私といると皆に嫌われちゃうんじゃないかな?
「おい、あいつ今日も来てるぞ」
「あいつ誰だっけ?」
「子賀だよ子賀……」
「あぁ……あのC組の女好きの奴だろ?」
「なんか、高校入って5、6人落としてんだってよ」
「で、今度はあの地縛霊女かよ……趣味悪」
いいのかな?子賀くん……皆の視線が……嫌な感じなのに……。
「さぁ!」
子賀くんは私の手を無理やり引っ張り教室から連れ出す。
「気にすんなよ、俺、お前のこと友達だと思ってるからさ!友達ならこれくらい当たり前だから」
私の隣を歩きながら子賀くんが話しかけてくる。
「……うん」
……気にしないなんてできないよ……。
だって友達なんだもん……。
友達は……守りたいんだ……もん。
「そういえばもう、中間だな……」
「そう……だね」
話を変えるのうまいなぁ……。自然だなぁ……。
よ、よし、私も何か。
「べ、勉強してる?」
「べ、勉強してる訳がないだろ?」
……真似された。
「くくく、いいよ気を使わなくて……話なんてその場しのぎなんだから」
その場しのぎ……。
「この空間、この時間を少し楽しくするためだけの方法……あ、後仲良くなるための手段かな」
なんだろ……よくわからないけど……。
それは「寂しいよ……」
「え……?」
あ、口に……。
で、でも言いたい……。
「私は……話したい……楽しいから……子賀くんと……話したい、楽しいから話しちゃ……駄目かな?」
話すことが……手段とか方法とか……そんなの……寂しいよ。
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