ありがとう

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千夏(ちか)って名前は昔からコンプレックスだった。 絶対名前負けしている。 夏と言ったらアウトドアなイメージがあるけど、私は完璧にインドアで下手したら引きこもりと間違われる可能性も……。 あぁあ……。 もうこういう考えが暗いと思われるのだろうな。 分かっているのだけど、癖になってしまってどうすることもできない。 私は頭を横に振り空を見上げた。 空……青いなぁ。 さっきまでのウキウキした気持ちが嘘のように今は不安でいっぱいになっていた。 あ……携帯……。 いやダメ! 今日は入学式! 今からそんなんだったらこれからやっていけない! 私は心の中で自分を叱咤した。 よし。 そして気合いを入れ前を向いた。 その時私は衝撃的なものを見てしまった。 前からバイクが突っ込んで来ているのだ。 え、え? 混乱で何もできない。 まさかこんなとこで私の人生は終わってしまうのだろうか。 せっかく……せっかく…… あぁ…………でもまぁいいか。 「バカがぁ!!」 その叫び声が耳に入ってきた瞬間私の体が横に吹き飛んだ。
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