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「っ!?……………………たく……」
男の子は私の転がっていた鞄を拾い私に渡した、そして行くぞと言って前を歩きだした。
「うん……」
まだ涙は止まっていなかったけど私はトボトボと歩きだした。
前を向くと大きな背中が私の歩幅に合わせるように上下していた。
「なぁ……さっき吹き飛ばしちまったけど大丈夫か?ケガしてねぇか?」
あぁこの人……いい人だなぁ。
「うん……」
私はその時やっと泣き止むことができた。
そしていつの間にかさっきまでの不安もなくなっていた。
どうしてかは分からなかったけれど……だけど……とてもすっきりとした気がした。
「そか……悪かったないきなり怒鳴って」
「ううん……大丈夫だよ」
あなたは優しい人だから…………さっきのことも多分私のことを思って言ってくれたんだよね……。
「お、やっと着いた……」
私は男の子の背中から前を覗いた。そこには大きな門があった。
加賀坂高校(かがさか)
私達の新しい生活が始まるんだなぁ……。
て、「あなたも……一年生なの?」
「あ?そうだ……つか俺の名前は清水 宗太(しみずそうた)だ」
え?……これって……名前……教えてもらったんだよね……。名前で呼んでいいのかな?
私は少し戸惑いながら口を開いた。
「あ、あの……えっと清水……くん……」
「お、おう」
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