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「てか、こいつら強…っ」
五月雨さんの剣筋が鈍る。
飄々としている蒼黄さん以外の
全員が苦悶を顔に浮かべる。
ランクの低い物ならこの程度訳はないのだが、何せBランクだ。
本来なら回収課の二人にとっては辛いだろう。
そこまで仕事が達者ではないぼくも同様だ。
「ぐずぐずしてる暇ねぇな…。
おい、哀れな魂さんよぉ!」
五月雨さんの動きが一層早くなった。目が獲物を狙う獣のように
見開き、口元に異常な程不気味な笑みが浮かぶ。
「いくら死んで可哀想とはいえ、人の恋路邪魔するんなら容赦なしに排除させてもらうぞ!」
閃光が瞬く。
どこか演舞を思わせる華麗さには一瞬視線と共に心まで奪われた。
ぼくの為にやってくれてるんならぼく自身が応えなくてどうするのだ。槍を持つ手に力をこめる。
なんだか、心が暖まったような
そんな気がした。
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