死神、神無月の憂鬱

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「…? まあ、人それぞれだと 思いますよ。私は生きてるものに興味はありませんが」 「そ、そうだよな。まあ色々と 参考になった。ありがとう」 浅葱は冷や汗を流しながら無理に笑顔を作った。 多分、逆の意味で参考になったのだろう。 ふと時計を見る。 そろそろ任務開始時刻だ。 面倒ではあるが、行くしかない。その間に軋魅さんのことを考えようか。 …最も考えられるかが問題だが。 何故ならば今回のパートナーは 死神組織派遣会社きっての問題児のmさんなのだ。 なんでもmさんがそろそろ狩猟の仕事をしたいと訴えたようで、 どんな思惑かぼくと狩りに行く ことになったそうだ。 強さ的には問題無いが…。 「おい神無月!」 給湯室の入口でピンクの髪が揺れた。mさんの登場だ。 「はい、今行きますよ」 「おう! えぇっと、今回の獲物は……、Bランクくらいの奴が うじゃうじゃ居るみてぇだから 気を付けろよ」 「わかりました」 ぼくは槍を片手に返事をする。 本当は槍は長さがあるので面倒 なのだが、生前に扱っていた武器はこれしか無いので仕方ない。 「機嫌良さそうですね」 「まあな! 久々の狩りだし楽しみだ!」 小学生男子のようなノリで答えるmさん。 身長と言動のギャップが凄まじいのも特徴の一つだ。 「mさん」 「ん、どーした?」 「さっき、浅葱とかと話してたんですけど女性って何をされると喜ぶんですかね…?」 ぼくの質問に、mさんは顎に手を当てて考え込み始めた。 暫く廊下を歩きつつも流れる沈黙に耐えていると、ポツリと彼女にしては珍しく自身無さげな呟きが聞こえた。 「やっぱ、プレゼントとかじゃ ねぇかな……。ほら、よく女性は急なプレゼントときゃ……とかに弱いって言うだろ」 「ときゃ…」 ぼくが思わずそう呟くと、mさんは光の速さで胸ぐらを掴んだ。 「なんだよ一々人の噛んだところ繰り返しやがって! 噛むのは 悪いことか!? アンタは噛まないのか!?」 いつものテンションで言われればそれなりに恐怖だが、顔を真っ赤にしながら言われても…。 「あ、あう…すいません」 とりあえず謝るとmさんは大人しく手を離した。
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