死神、神無月の憂鬱

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ほんの数秒間目を閉じていると、体を包んでいた気持ち悪い浮遊間が嘘のように消え去り、代わりに少し冷気を孕んだ風がぼく達に 向かって吹き付けた。 「おぉ、寒…」 mさんは露出している自らの肩を抱き呟いた。 「あの…大丈夫ですか?」 「ああ、心配すんな。 それよりも……」 来たぞ、と風に掻き消される声でそう言うと同時にmさんが短剣を構えた。 ぼくも自らの槍を構える。 と、その直後に一言。 「あの…シキさんからくれぐれも建物などを破壊しないようにって言われたんですけど」 「あ? 大丈夫だっつーの! んなのいつものことだしよ!」 そういう問題では無いだろう。 そう突っ込みたかったが、ぐっと堪えて溜息だけに抑えた。 最も、そう悠長にしている余裕がなさそうだったからだ。 『あらー? 貴女達は誰でしょうかねぇ? 先程から睨んで…。 街中でそんなことをしていては、不良に間違われますよ?』 どこか人を見下してはいるが、 品のある口調。 それは確かに女性の声なのだが 姿はまるで陽炎のようにぼやけている。 「出たな、ボス」 mさんが目の色を変える。 獲物を前にした蛇のようだ。 『ボス…? はてさて、何のことでしょう?』 「教えても時間の無駄だぜ?」 mさんの台詞を皮切りに、ぼくらは同時に地を蹴った。 「「お迎えに上がりました」」
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