結婚なんてやだぁっ!

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 ユグノイドは、今でこそ弐凡の最大の同盟国だが、かつては、敵国として戦争していたこともある。独裁政治のもと他国への侵略を重ねていた弐凡は、ユグノイドに敗れ、「二度と戦争をしない」という誓いを立てさせられた。今から百五十年ほど前のことだ。これによって軍隊は解体され、すべての武器は管理下に置かれ、一般の国民は銃や刀を手にしてはいけないことになった。弐凡の中心に建ち、安寿たち王家の者が暮らす栄都城には、ユグノイドの軍人が常駐して国家の安全を守っている。リオン・ゼットもその一人だ。ユグノイドの軍隊の基地は弐凡各地にあり、どこで何があっても対応できるようになっている。  戦後、弐凡の国防は、ユグノイドの軍事力の傘下に入り、有事の際には守ってもらうという協定が結ばれたのだ。弐凡国にも一応、国有特別援護隊という軍隊の名残のような組織があるが、彼らは、自ら武器をとって戦うことはできない。あくまで後方支援と自衛権の行使のために存在している。国内のデモやテロリストの鎮圧・災害時の救援活動が主な仕事だ。現在この国で帯刀と銃器の使用を認められている弐凡人は、通称・国援隊と呼ばれている彼らだけである。  友好国となった両国の間では、留学や文化を通じての交流がさかんで、国民は幼いころから二カ国語で話せるように教育されている。双方の合意があれば、王家の者同士の婚姻も行われる。もっともこればかりは、どちらかに姫、もう一方に王子が生まれた場合、かつ二人の年齢差が夫婦として不自然でなく他に許婚がいないときに限られるので、そう頻繁ではないが。
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