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五年前____。
「まて!今日こそ、つかまえてやる!」
「ハァハァ・・・ハァハァ・・・ハァ・・・僕が何をしたっていうの?」
僕はいつも不良たちに追われていた。たぶん・・・あれだ、
僕は人見知りが激しいから、ずっと一人、静かに過ごしていた。
狙いやすかったのだろう。アイツらにとって僕は・・・・・
『暇つぶしのおもちゃ』
それだけのこと。
下校時間は過ぎていて、誰もいない廊下をただ・・・ひたすら走る。
「こっちにおいで」
階段の上の方から声が聞こえてきた。
後ろには不良たち、
行くしかない。
でも、この上ってカギがないと入れない屋上じゃ・・・
「ほら、おいでっ!」
「わぁっ!!」
急に手を引っ張られた。
見かけない顔。すごく整っていて、僕には持っていないものを持っている気がした。
「速く走って!」
「で、でも!この上って・・・!」
僕より大きく、温かい手が力強く引っ張る。
「いいから、いいから!」
_____バタン!
「ドアが開いてる!?」
「はぁ~・・・もう、追ってこないでしょ!」
屋上に来たが、空は泣いていた。
僕はその涙にあたりながら、言った。
「どうして僕を助けたんですか?僕なんか・・・」
「あ、やっぱりイジメにあってたんだ。
オレ、いつもここにいるから君がイジメられてるの見えるんだ」
「助けてくれて、ありがとうございます。
でも・・・僕、イジメになんてあってないです」
きっぱりと彼に言った。そして僕はうつむきながら言った。
「・・・追われているだけです。」
「追われてるって、理由もなしに・・・イジメじゃん!どうして・・・」
「僕がアイツらにとって、いい『オモチャ』だからなんです」
「!?『オモチャ』・・・」
_____オモチャ。
そう、僕なんてアイツらにとっての『オモチャ』でしかない。
_____パァァァン!
叩かれた。あの手で・・・
そして、強く抱きしめられた。
「ツラかったね・・・でも、そういうことは言っちゃだめだ。
人間はね、価値があるとかないとかで決まらないよ。『理由』があればいい生きる『理由』をつくればいい」
「僕の・・・生きる、『理由』?」
僕の頬に、『雨』が降ってきた。
「そう。君の生きる『理由』それは・・・」
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