prologue

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『ブロムの力が、どんどん増しておる…』 オーロラのように、七色に輝く空。 そこに届いてしまいそうなほど高くそびえ立つ神殿。 その上に、7人の老人が“浮いていた”。 そして、二人の男女の老人が言葉を交わしはじめる。 『やはり不完全な封印だったようですね。彼らが動き始めるのも、もはや時間の問題…』 『これ以上は流石に危険じゃな。せめてあの子たちが、もう少し育っていれば…』 『そんなに心配しないであげてください。まだ幼いとはいえ、私たちが大切に大切に育てたのですから。』 『ふむ…わしも少々、孫バカが過ぎたようじゃの。そうだな…せめて、あと8年ほど英才教育を施させようではないか。』 『全く…まあ、そのくらいなら、まだ間に合うでしょう。』 「お祖父様!」 そのとき、神殿の下からまだ声変わりの始まっていないだろう、幼い男の子の声が響いてきた。 そして先程の男の老人の顔が、ぱっと輝く。 『おお!我が孫よ。学校は終わったのかね?』 「うん!今日もテストで満点とったんだよ!」 『ふむ、いい子じゃの~。ではすまぬが子どもたちを皆、大広間に集めてくれぬか?』 「分かったー!」 男の子がとてとてとかけていく。 繰り返すが、この神殿は空にも届くような高さだ。地面からではいくら叫んでも、声など届かないはずである。姿を視認することすらできないはずである。 それでも、老人と男の子は普通に話していた。 『子どもたちに、あのことを説明しなくてはなりませんね。』 『うむ…では私たちも大広間へ向かおう。』 そして、老人たちは透けていく。 『《災厄の使者》(エニグマ)の捕獲は進んでいるのですか?』 『いや、まだだ。生まれ落ちたことしかわかっていない。』 『まずいですね。早く捕獲しないと、この世界は終わ…』 そこで、7人の姿はかき消えた。
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