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「修二にも言われたよ。余計なお世話だ。第一、うちにはないだろう。うちの女子の制服なんて。」
「あら、スカートくらいなら買ってあげてもいいわよ。かわいい娘のためですもの。」
だめだ。母は小さい頃、俺を女装させて喜んでいた。ゲームソフトについてはうるさいくせに、こういう事に1万円くらいの出費はいとわない。
これ以上相手にしていたら、家で特訓を始めようといいかねない。
「だ、か、ら、いらないよ。女装は単なる余興なんだから、母さんは何も助けてくれなくていいから。気を使わないで」と言うと、自分の部屋に上がっていった。
「薫ったら、恥ずかしがっちゃって、本当にかわいいんだから。でも、そんな事言ったって、母さんに助けを求めることに結局はなるんだからね。」
満子は呟いた。
一方、部屋に上がり、着替え始めた薫はある事に気付いてしまった。
(下着はどうするんだろうか)
女装となれば、おそらく胸を膨らんでいるように見せないといけない。詰め物だけではズレてしまうだろうし、という事は…
ブラをするなんて考えただけで恥ずかしさMAXだ。何とかならないものか。下なんてなおさら堪えられない。
「あ~あ、やっぱり立候補すんじゃなかったな。もしかしたら、投票で選ばれなかったかもしれないし…」
薫はこれからに大きな不安いっぱいだった。
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