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翌日の放課後、薫、あずさ、裕子の3人が多目的教室に集まった。
「一芸審査の件なんだけどね。制限時間をある程度使った方がいいと思うのね。そうなると1曲では足らない。といってダンス曲2曲だとスタミナが持たない。そこでね、最初はソロで何か歌って、その後、歌とダンスという2段構えにしよう」
あずさが言った。
あずさはなんでこんなに生き生きしているのか、薫には理解できなかった。
(サディストなのか?)
「私はそんな事、どーでもいいから早く練習しよう!」
一方の裕子は何か焦っている。
その理由は他のクラスにいるライバルの応援参戦だった。
3年4組には同じチアリーディング部の柴田美郷(シバタ ミサト)がおり、今日、美郷から一芸審査について挑戦状(勝利宣言)を叩きつけてきたらしい。
「こちらの代表は素質がある。まぁ度肝を抜かれると思うよ。」
美郷は自信満々に言っていたそうだ。
ライバルには負けられない。決められた振り付けを完璧にする!その決意が裕子の闘志に火をつけた。
「絶対に4組より、歓声が大きいダンスにしていこう」
当の代表を置き去りにした闘いに薫は困った顔をしていた。
(適当では許してもらえないって事だね。歌以外にすりゃ、こんな事にならなかったかもしれないな)
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