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「田城君、実は女装経験済み?」
分かっているくせに、いたずらっぽくあずさが言う。
薫は着替え終わると、心配な男の子のアソコをなだめた。
振り向いた薫を見て、2人は驚いた。そこにいるのは「ほぼ女の子だった」。
髪型もショートだし、胸も膨らんでいないし、薄いながらもすね毛も生えているんだけれども、色白でかわいらしい女の子のような気がした。
「悪いけど、もう少し手を加えたら、この制服で普通に通えるんじゃないかな。してと言っているわけじゃないけど…」
控えめに裕子が言う。
「裕子の言う通り。ぱっと見なら女子トイレも入れるんじゃないかな。」
あずさは笑いをこらえている。
あずさはともかく裕子もひどい事を言う。手を加えるとは、何を考えているんだろうか?
鏡がない状態なので、自分がどうなのかは判断つかないが、悲しいかな結構な出来のようである。
「1回、トイレ前の全体鏡で自分を見てみる?」
あずさが言う。この恰好で教室を出るのはかなり勇気がいる。でも、気になって仕方がないのもまた事実なんだよね。
薫は心で呟いた。
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