3年1組

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「知り合いに見つかりませんように」 決断した答えは見に行く。我ながらどこからそんな勇気が出たのかは分からない。 薫があずさと共に女子の制服姿で外に出ようとすると、 「薫ちゃん、ちょっと待ち。」 裕子はそう言うと、自分のハイソックスとローファーを差し出した。 「ハイソはあげる。すね毛を目立たせない為にもね。それに男物のスニーカー履いていたらおかしいでしょう?」 靴はサイズが合っていないので、きつかった。何とか履けたが、足が痛い。 「じゃあ、ちょっと行ってくるね」 あずさのお気楽極楽発言は普通ならカチンと来るが、薫のあずさに対する好意がすべて薄めていた。 さて、数分後 薫はトイレの全体鏡に映っている自分の姿が信じられなかった。 ちょっとボーイッシュな女の子という感じだった。俺って、服装を変えただけで、こんな感じになるのか。ちょっとショックだった。 横で違うクラスの男子2人程が薫をチラ見して、トイレに入っていった。去り際に「お前どっちが好み?」という呟きを 聞き、ばれてなさそうとホッとした。 そこで緊張の糸を切るべきではなかったのに… 「徳山さん、どうしよう。トきイレ行きたくなってきた。ヤバイかも。」 あずさは困った顔をした。普通なら男子トイレだが、別の男子が今入っていったばっかりだ。男子なら短いだろうけど、いつまた入って来るか分からない。 あずさは裕子がトイレ発言をしていた時、面白いと思っていたけど、いざとなるとそんな気持ちでなくなっていた。 「もう、やばい?」 あずさは小声で聞く。 「戻って着替える余裕はないかもしれない」
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