2.黄鈴学園

4/8
54人が本棚に入れています
本棚に追加
/208ページ
「んじゃ、入るぞ」 これから教室に入る。ちなみに俺が出席番号1番らしい。だから俺がいなかったことはもうみんなに知れ渡ってると。 ったく、初っぱなからなんか出遅れたな。 ガラガラッ。 「待たせたな、我が生徒たぁあ!」 ドン。 「先生、大丈夫っすか?」 何度転ければ気がすむんだ?こいつ。 「案ずるでない。あけ、あけ、あけまして?」 「おめでとう。って違う!誰が新年のご挨拶だ!あけはまだって」 やべ、そこらじゅうからクスクスと笑い声が聞こえる。この笑い声はこのアホな先生にか?それとも俺に対してか? 「とにかく、席につきな朱浜くん」 「やっと正確な名前呼んでくれたな、輪湖先生」 皮肉っぽくそう言ってやると、ニカッと輪湖先生は笑った。 出席番号1番だから窓際の一番前かと思った。けど輪湖先生がそれだとつまらないだとか言って、適当に決めたらしい。 よって俺の席は窓際の最後尾という最高のポジションとなった。 「んじゃあ、ホームルーム始めッぞ。まず自己紹介から始めッか。んーと最初はぁ……朱浜くん!元気よく行ってみよう」 「なんで俺から!」 あ、勢いよく立ち上がりすぎて椅子倒しちまった。 「なんでって、出席番号1番だろ?お前」 そうでした。 改めて、周りを見るとみんながこちらを注目していた。いや廊下側の最後尾の人は読書に没頭してるか。 「朱浜海斗、よろしく……。お騒がせしましたー」 そしてまた笑いが起きた。まさか初日からこんなに目立つことになるとはなぁ。 「じゃあ次は──」 自己紹介は続けられていく。名前と顔をあわせて覚えていくという作業をしていると前の人が話しかけてきた。
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!