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「君、噂の遅刻魔だよね?」
「そうです。噂の遅刻魔ですよ」
もしかしたら俺、噂の遅刻魔で名が通るんじゃね?
「君、面白いよね?」
話しかけてきたのは斜め前に座る女の子だった。髪が短く、いかにもスポーツ少女って感じだ。
でも、かわいい。
「そんな疑問型で聞かれても……」
「おっ!茜音、やっぱこいつに興味を示したか!」
そこへ割り込んできたのは竪谷悠真だった。もう悠真でいっか。
「やっぱり悠真も?」
えっと、この女の子は確か笹沢茜音(ササザワアカネ)だっけ。席が近いから優先的に覚えてたんだけどあってるかな?
「そういや個人的な自己紹介はまだしてなかったな。オレは竪谷悠真。気安く悠真って呼んでくれ。よろしくな」
「あたしは笹沢茜音。よろしくね。あたしも茜音って呼んでくれちゃっていいよ」
悠真、茜音。よし覚えた。この二人がこの学園に来て初めての友達だな。
「噂の朱浜海斗です。俺も海斗でいいよ」
「わかった。じゃあ海斗、これから一緒に飯でも食いに行かね?ほら、茜音も」
教室備え付けの時計を見る。12時半か。もう昼なのか。ちょうど腹も減ってきたし、友好関係を深めるにもいいチャンスだな。
「俺はいいよ」
「あたしもオッケィだよぉ!行こ。早く行こ。今すぐ行こう」
「慌てんなって茜音。ほら海斗置いてかれちまうぞ」
「ああ、今行く」
俺、なんか忘れてないか?何か大事な用事があった気がするんだけど……。
まあいっか、そのうち思い出すだろうし忘れてるってことはたいして大事でもないんだろう。
「駅前に新しいファミレスできたんだよ」
「おっ、いいじゃん。そこにしようぜ。いいだろ海斗?」
「いいよ。早く行こ。腹減ったし」
入学式に遅刻するっていう偉業を成し遂げて、学園生活も心配だったけど、なんとか大丈夫そうだな。
こんなに早く友達もできたし。いや遅刻したからできたのか?ま、いいや結果オーライってことで。
なに食べようかな、ファミレスで。
これからもなんとかやっていけそうだよ。
なぁ、瑠璃──
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