2.黄鈴学園

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今の時刻はっと、1時57分。あと3分で2時か。 1時?なんかあったような、なかったような……。 「ねぇねぇ、次はカラオケ行こうよ。ね?いいでしょ?」 「いいなぁ!カラオケ!海斗もいいだろ?」 「あぁーー!!忘れてたぁ!!」 俺は今日なんで遅刻したんだよ。なんで遅刻魔の名が通ってるんだよ。 全部あいつのせいだろ。 そして、あいつとの約束。 『1時、午後1時に確かこの近くに公園があっただろ?そこに待ち合わせだ。いいだろ?』 どうすんだよぉ……。あん時はその場しのぎで特に何も考えずにそう言っちゃったけど……。 どうすんだよぉ……。 「どうしたんだ、海斗?なんか顔色悪いぞ」 「ああ、ちょっと嫌なこと思い出した」 どうする?このままバックレるか? いや、よく考えろ。相手は地球外生物かもしれないんだぞ。もし無視でもしたら地球破滅なんてことも……。 「俺、ちょっと用事があるんだ。悪いな、どうしても外せない用事だ」 「女の子との約束かぁ?さすがは恋愛部」 いつもならここでそんな部活動は存在しない、とでも突っ込んでいただろうか。 でも生憎そんな余裕はないんだ。すまないな、悠真よ。フォローする時間も惜しいんだ。地球壊滅してからじゃ遅いからな。 て、ことだからお代を出している時間さえ惜しいんだ。 「てなことで、じゃあな。また週明けに会おう」 「ちょ、金置いていけぇ!」 その声は俺には届かない。……ことにした。
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