1.空色の髪の少女

5/9
前へ
/208ページ
次へ
ん?なんか足踏みが聞こえるぞ? これってさっきのベランダからじゃ…… 「あいつなにしてんだぁ!?」 俺が見たときは少女が部屋の中から走り込んできて、ベランダの手すりに片足をかけたところだった。 ふさっ きれいな白と青の髪が宙でゆらゆら揺れ、きらきら輝く。 あいつ、 助走つけて飛び降りやがったぁぁあ!! 「うぉおおおお!!」 なんで俺が真新しい制服犠牲覚悟で、コンクリートの上をダイビングヘッドしなきゃなんねぇんだよぉ! 「うわっ!」 いってて……、今完璧破けた音した。 「おい、大丈夫か?」 この娘の体は地面にはついていない。全部受け止めた。まず怪我はないだろう。少なくとも俺よりは。 ゆっくり降ろしてやると、俺は制服の汚れを叩き落としながら立ち上がる。 肘のところ破けてるし。 あ、ボタンも一つとれてる。 少女は腰を地面に降ろしたままでいた。 「計算に多少の誤差がありました。でも受け止めていただかなかったとしても重症になる確率は0%。助けがなくても生還していました」 この女、一度殴ってもいいか? これが少女の発した最初の言葉だった。
/208ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加