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「で、本当の名前は?」
ぎらりと鋭い眼差しがとんでくる。
もしかして、怒っていらっしゃる?俺は何か悪いことでもしたでしょうか。
「1C……209E!!」
「うがっ!」
体が宙に浮かび、弧を描くように背中が反り返ってゆく。
あ、今日も空が綺麗だな。 ってそんなことはどうでもいい。
なんで朝から全力で走らされるわ、大声出させるわ、飛び込ませるわ、怪我するわ、制服破れるわ。
挙げ句の果てに、女の子から見事なアッパー決められなきゃなんねぇんだ……。
「っ、何すんだよ!」
「人のコードネームを間違えた制裁がくだったのです」
見事に肩から着地した俺は、制服についた汚れを払い落とす。
ん?コードネーム……?
こいつ、本当にどっかの機関から来て、その被験体とか?
「お前どこから来、うがっ!」
「お前ではありません。1C209Eです」
二度も、こいつのアッパーを……。
「わかったから。で、どこから来たんだ?」
「地球を原点とし、21光年,586光年,784光年の座標位置からやってきました。知力の乏しいあなたにも分かりやすくいうと、つまり宇宙からやってきたってことです」
…………。
「はいいい!?」
宇宙?何言ってんだ?こいつ。
待てよ。宇宙からきたのが本当だとしたら、こいつは
宇宙人!?
いや、ないない。そんなことありえない。
もう駄目だ。こんなの相手してると頭が混乱してくる。
「とにかく、1C209Eってのは呼びにくいから勝手に名前つけるぞ」
んー、どうしよっか。呼びやすさ重心か可愛らしさ重心か。
ま、深く考えすぎなくていいや。
「決めた。ソラ。これからはそう呼ぶからな」
あれ、アッパーが飛んでこない。ということはオッケーなのかな?
「じゃあソラ。俺には入学式という大事な……。
やっべー!完全に遅刻だ。もう入学式が始まってる!」
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