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「なぁ――これ飲み物だよな?」
【……】
僕は非常に悩んでいる。
さかのぼることほんの一時間前、六時限目の授業が終わり帰宅する準備をしていた。
折り目の浅い教科書やまだ真っ白いページが多い教科ごとのノートを無造作にスクールカバンに詰め込こみ、椅子をガガッと音を立てて立ち上がる。
僕は水原ハルキ。海辺の町で水面(ミナモ)中学に通う一年生だ。
成績は小学校のときから中の上で赤点という絶望的な言葉なんて聞いたことがない、ただ可もなく不可もなく無難な点数を維持する至って普通の中学生……だと思う。
カバンのショルダーを手に取り立ち上がろうとした瞬間、後ろから声を掛けられた。
「ルキー! 今日暇か?」
こいつは幼なじみの木野ミキヤ。正義感が強いが、何かと問題を持ち込む。
いや、問題に巻き込むちょっと呆れる奴だ。
【ん? あぁ……今から喫茶店で宿題をやろうと思ってさ】
「六時限目に出た宿題だろ? 俺もわからないから一緒にやろうぜ!」
僕の返事を待たずにミキヤは自分の席に戻り、口笛を吹きながらカバンに教科書を仕舞っているが、一人よりはいいだろうと思い教室を出た。
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