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「母さーん! あのさぁーメダロット…」
「あぁもう! その固有名詞は口にしないで頂戴っ!
おじいさん達が家の前で騒ぐお陰で、お母さんは恥ずかしくて表を歩けないわよ!」
「は、はいぃ…」
とりつく島も無かった。
こんな感じで、ナオキの母・獅塚ケイコはメダロットアレルギーを引き起こしてしまっていた。
「この間はお隣さんから、トラップが置きっぱなしで車が引っ掛かったって怒鳴られたんだから!
城崎さんの奥さんも一緒に謝ってくれたから良かったけど」
「じゃあ…KOS-MOSはどうすんの?」
「あら、こすもすちゃんは良いのよ、家事のお手伝いして、お母さんの役に立ってくれてるんだから。
ああいうミスは、全ておじいちゃんみたいなダメダメなメダロッターが、ちゃんと管理してなかった責任になるのよ!
ナオキもおじいちゃんに似てしっかりしてないんだから、ダメロッターになるのは目に見えてます」
「そ、そんなー」
じーちゃん形無しな略し方である。
説教の勢いに押されて、ナオキは何も言い返せなかった。
「大体、アンタも少しは手伝いをしたらどうなの!?」
「えーと、それじゃあさ、お使いやってこようか…?
つか、やらせてください」
平身低頭の姿勢で、少しでも評価を稼ぐ事にする。
「ふぅん…? じゃあタマゴ切らしてたから買ってきて頂戴」
200円を手に入れた!
「……チッ」
おつりをチョロまかす事は出来そうにない。
手渡された瞬間に顔を背けながら、思わず舌打ちする。
「何か問題でも?」
「いえっ、ノープロブレムっす」
「丁度足りるでしょうから、よろしくねー」
「…こういうの、説教覚悟でメダロット買っちゃいそうな展開だと思ったんだけどなぁ」
思惑が外れた事を愚痴りながら、ナオキは玄関を飛び出した。
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