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「こうしては居られないロボ! ゴウカザル、お前も早く逃げるロボよ!」
『ロボロボ ロボロボ』
「ち、ちっくしょー! 何となくアイツなら俺でも勝てそうな気がしたんだが…。 ん?」
表情をしかめながら一息に飛び起きて、自動ドアを出て行くロボロボ団員の背中を目で追う。
と、片手の指先に何かネトつく感触を感じて、恐る恐る手元を見ると…。
「うわっ、卵パックが! さっきので…!」
未開封のまま衝撃を受けて、中が惨憺な事になってしまっている。
梱包の一部から黄身が飛び散って、指に付いていたたまれない気持ちになったので、ナオキは渋々卵パックを手放した。
「ぐぬぬ…! このまま家に帰ったら母さんにガッカリされるだけで、せっかくの任務がパーだぜ…!
ボロボロ団だかイボイボ団だか知らんけど、こうなったら逃がす訳にはいかねーぞっ!」
今のナオキに後を追わない理由は無かった。
相変わらず計画性は無かったが、このまま事態を放っておいたら少なくとも自分にとっては何にもならないという、いわゆる直感に駆られて…の行動である。
(さっきの時点で、俺もメダロットを持ってさえいれば、何とかなったかも知れねーけど)
今はそんな仮定の話をしても何にもならない。
コンビニを出ると、さっきの店員の絶叫から始まる騒動のお陰で町を行き交う人々は棒立ちになって、皆が同じ方向に視線を向けていた。
そっちに何か興味を引くものが通り過ぎたに違いない。右に向かって大通りを全力疾走すると、交差点のところで薄緑のタイツ男が見えた。
「やっぱな…! 山に行くのか?」
ナオキもその後ろ姿を追って、山道へと向かうのだった。
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