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「いいこと? 貴方がこんな辺鄙なところで無様に寝転んでたりしていませんでしたら、この私があろうことかシュガーちゃんを見失ってしまうなんて、万に一つも有り得ませんでしたのよ?
その万事が運悪く起こってしまったというのは、トラブルと言う他に有りません。
無論、貴方が引き起こしたトラブルとして、責任を全うするべきと思いますが…後は、お分かり?」
「どうしてそんな誇らしげな顔でトッピング全部乗せの言い掛かりが出来るのかが、どーも分かんねっすわ」
これ以上喋りを許すと押し売りか大口契約でもされてしまいそうな流れを感じた。
早くも論理展開に付いていけなくなったナオキは、少女と肩を擦れ違わせて通り過ぎ、脱兎を決め込む。
「…お待ちなさい。こっちでしょう、何処へ向かうおつもり?」
しかし少女に手首を掴まれて制止させられると、強引に反対側の道へと引っ張られていった。
「え、ちょ、待てぇ! 俺には用事が…」
「私だってシュガーちゃんを見つけなければなりませんもの!
それに、もうじき日が暮れてしまいますわ。その後になっては色々と支障が出てしまうでしょう?」
「色々ってそんなテキトー言ってんじゃ…いや、待てよ。確かに最近、夜の山に凶暴なクマ型の野良メダロットが出るなんつー噂は聞くが…」
ふと、クラスメイトから聞いていた話が唐突にナオキの頭に過ぎった。
「クマ型…?」
「よく分かんねーけど、クラスの中でもロボトルの強い奴が、山奥でクマ型メダロットにロボトルを強いられて(集中線)
コテンパンにノされて賭けパーツを取られたって泣いてた。
しかもそれを追って他の実力者達もクマを探しに夜の山に入って、次々と被害に…」
どのクラスメイトも小学校低学年のうちからブームに乗ってメダロットを所有し始めたような奴ばかりで、最先端の流行メダロットをチェックし、パートナーのレベルを上げて鍛えている…なんていう事を普段からやってるような連中である。
町内の小規模なものながら、ロボトル大会にも参加しているようなメダロッターが負けるという事は、純粋にこの町のレベルよりも上のランク相当の実力があるという事を示している。
それがメダロッターならともかく、野良メダロットが活発化してくるようだと、町民にとって危険にもなりかねないので、噂ではセレクト隊が山狩りを行う事も検討されているという。
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