第一章・中編

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一説には、『遥か古来に宇宙人が地球にもたらした』とも言われている。 この金属片の一つ一つは超精密なICチップの回路と同等とも言えるハイテク機能を有しており、今の地球上の技術の総力をもってしても到達出来ないレベルのオーパーツに等しいものだった。 そして、時代の進歩した人類は、やがてこの金属片の本質が何なのか…という過程をすっ飛ばして、最先端の電子技術を用いてロボットのインターフェイスに利用する為の加工をこの金属片に施し、私的に使い始めた。 果たしてその行いは人類の進歩の象徴と言えるのか、はたまた神様の最高傑作に吐唾する行為なのか、誰にも計り知れない。 「出てくるのはボロボロで使いもんにならねーヤツばかりだけど…。 でも間違いねぇ! ここは昔の『メダル塚』なんだ!」 一般的な呼び名では、加工を済ませた後の六角貨幣石は『メダル』と、そう呼ばれる。 このように、発掘状態によって元から欠損していたり、傷一つない物だったりと、価値の変動が激しい。 また、元が六角貨幣石である物から加工したメダルは『オリジナル』と言われ、メダロット社において培養生産されているコピーメダルのマザーと成り得る。 それだけではなく、オリジナルのメダルをメダロットに搭載して起動させれば、それはもう『メダロット』という域を超越する程の真価を発揮する…という逸話まで伝えられている代物なのだ。 世界有数のコレクター達が大金を山のように積むのも、考えられなくはない。 「ここは…メダルの発掘現場なのか…!」 洞窟の先に行き着いた空間は、思ったより小規模のもので、直径15~20mほどの空洞になっている。 壁には炭鉱でありがちな、落盤をある程度防ぐ為の木の枠組が掛けられており、中央にはタンスと天井の間に挟んで固定する器具をスケールアップしたような、大きな支柱が立てられていた。 巨大な発掘機器は無いようだが、ツルハシやドリルが無造作に放り出されており、何となく血の滲むような努力と時間を費やしたような雰囲気を感じられた。 「うわ、こんだけの通路や空洞、全部手作業でやったのかよ…?」
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