5人が本棚に入れています
本棚に追加
たじろぎ半分に恐る恐るといった様子で、ナオキは忍び歩きをしながら辺りを見て回る。
入ってきた通路を6時側として、ちょうど対角の12時側に通路があり、そのすぐ先に鋼鉄製のドアを見つけた。
「まだ奥があんのか…。行ってみるか?」
ゆっくりと奥へ向けて歩みを進めるナオキだが、はたとその足を止めた。
「今、向こうで何か光ったか…?」
発掘現場の一時方向、そこは辺りよりも一際深く掘られており、左右に土砂が山のように盛られていた。
この窪みになった部分は新たに発掘を進めている地点らしい。
「こ、これは…!」
それは、無造作に地盤の中から顔を出していた。
鼓動が跳ねるように高鳴るのを堪えながら、ナオキは辺りに転がっていたピックを手に取り、そこへ駆け寄る。
静かな洞窟の中で、しばらくナオキの荒い息遣いだけが響いた。
「やった…はは…! メダルだ! ちゃんと六角形してる…!」
ピックで周囲の地盤と一緒に崩すようにして零れ落とし、後は指先で土泥を払った。
メダルの表面は土で覆われていて、そこに写っているはずのモチーフの造形は何かは分からなかったが、ナオキは掲げた握り拳の中に宿る確かな重みに、心を揺さぶらるような感動を覚えた。
「ヒャッホー! 自分でもとても信じられねぇ!
夢だけど、夢じゃなかった! 夢だけど、夢じゃなかったー!」
「お前、そこで何をしているロボか!?」
「いひっ!?」
浮かれて小躍りしている最中に呼び掛けられたもので、思わず声が裏返った。
「ここは我々ロボロボ団・篠更木支部の管轄だロボ! 関係者以外は立入禁止ロボよ…って」
「うわすいませんごめんなさい、ちょっとした出来心なんですイタズラしようとした訳じゃ…、え?
あーっ! お前はボノボノ団員!」
「ロボロボ団だって言ってるロボ!」
ナオキが振り返ると、またしても金魚鉢を被った緑のタイツ男がそこに居た。
「いい加減に覚えて欲しいロボ…。間違って呼ばれ続けたんじゃ、組織の威厳を保てないロボ!
機を見計らいながら事ある事に名乗るのもラクじゃないロボよ…」
「いや、すんません、俺キョーミ無い事には覚えが悪くって」
「近頃のガキにしては、お前はナマイキすぎるロボね…!
それより! お前、昼間のコンビニではよくも邪魔をしてくれたロボね!」
最初のコメントを投稿しよう!