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「もう、この状況ははどうにもなんねぇ…!
やべぇよ…やべぇよ…」
逃げ道を失ったナオキは、再び反対側の外周を走り出した。
他に行き着く先は一つ、12時側の扉のその向こうしか無い。
「…頼む!」
ロボロボ団員が出てきた時に鍵を掛けたかも…という悪寒がナオキの脳裏に過ぎる。
藁にも縋る思いで扉の取っ手に手を掛けると、扉は重そうなイメージに反してしなやかに開いた。
そのまま部屋の中へと飛び込むと、運良く手の平に当たったチェーンを取り、フックを固定の位置ではなくドアノブに雁字搦めに掛けた。
「あっ!? おい、観念してそこから出てくるロボ!」
扉の向こうで怒声が聞こえ、ナオキが慌てて後退りすると、ガキッガキッと軋む音を立てながら、乱暴にドアと格闘している様子が目に入った。
「ひえぇぇぇー…!」
間近で見ると、臨場感と恐ろしさがハンパ無かった。
「ここに引きこもられるのはマズくないロボか!? ここには…!」
「いや、大丈夫ロボ! あのガキは、今時メダロットも持ってない情弱ロボよ!
なんたってメダロッチを持ってないんだから、誤魔化しようもないロボ!」
「こんなチェーンくらい、お前のゴウカザルに任せればチョチョイのチョイロボよ!」
「あっ、そーか、その手があったロボね」
扉の向こうでは相談を終えたようで、限界まで開いたドアの隙間から、サルメダロットのゴツい指先が飛び出した。
そしてそのままチェーンを束ねるように
摘み上げると、指先から吹き出したバーナーのような炎で焼き切ろうとしている…!
「ぐぬぬ…口が過ぎるぜ、ロボロボ団さんよ…!」
絶対絶命の窮地とでもいったところだろう。
今のナオキに出来る事は、よろめくように後退りしながら、この部屋の中で隠れる場所を探すくらいしかない。
中は事務所のようであり、しかし何やらパッケージに包まれた箱のようなものが山のように積まれていて、小汚かったので倉庫のようにも見えた。
「っ痛ぇ…、なんだこりゃ…!?」
すぐ後ろにあったタワーに後頭部をしたたかに打ち、ナオキは悶絶しながら振り返る。
すると、そこにはナオキが普段から目にしている、憧れの対象…メダロットの姿がそこにあった。
「メダロットの、箱…! もしかしてこれ全部、今日みたくコイツらが掻っ払ってきた盗品か!?
…それならッ!」
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