第一章・中編

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「もう、この状況ははどうにもなんねぇ…! やべぇよ…やべぇよ…」 逃げ道を失ったナオキは、再び反対側の外周を走り出した。 他に行き着く先は一つ、12時側の扉のその向こうしか無い。 「…頼む!」 ロボロボ団員が出てきた時に鍵を掛けたかも…という悪寒がナオキの脳裏に過ぎる。 藁にも縋る思いで扉の取っ手に手を掛けると、扉は重そうなイメージに反してしなやかに開いた。 そのまま部屋の中へと飛び込むと、運良く手の平に当たったチェーンを取り、フックを固定の位置ではなくドアノブに雁字搦めに掛けた。 「あっ!? おい、観念してそこから出てくるロボ!」 扉の向こうで怒声が聞こえ、ナオキが慌てて後退りすると、ガキッガキッと軋む音を立てながら、乱暴にドアと格闘している様子が目に入った。 「ひえぇぇぇー…!」 間近で見ると、臨場感と恐ろしさがハンパ無かった。 「ここに引きこもられるのはマズくないロボか!? ここには…!」 「いや、大丈夫ロボ! あのガキは、今時メダロットも持ってない情弱ロボよ! なんたってメダロッチを持ってないんだから、誤魔化しようもないロボ!」 「こんなチェーンくらい、お前のゴウカザルに任せればチョチョイのチョイロボよ!」 「あっ、そーか、その手があったロボね」 扉の向こうでは相談を終えたようで、限界まで開いたドアの隙間から、サルメダロットのゴツい指先が飛び出した。 そしてそのままチェーンを束ねるように 摘み上げると、指先から吹き出したバーナーのような炎で焼き切ろうとしている…! 「ぐぬぬ…口が過ぎるぜ、ロボロボ団さんよ…!」 絶対絶命の窮地とでもいったところだろう。 今のナオキに出来る事は、よろめくように後退りしながら、この部屋の中で隠れる場所を探すくらいしかない。 中は事務所のようであり、しかし何やらパッケージに包まれた箱のようなものが山のように積まれていて、小汚かったので倉庫のようにも見えた。 「っ痛ぇ…、なんだこりゃ…!?」 すぐ後ろにあったタワーに後頭部をしたたかに打ち、ナオキは悶絶しながら振り返る。 すると、そこにはナオキが普段から目にしている、憧れの対象…メダロットの姿がそこにあった。 「メダロットの、箱…! もしかしてこれ全部、今日みたくコイツらが掻っ払ってきた盗品か!? …それならッ!」
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