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あれこれ考えている余裕は無かったので、ナオキは連なる箱タワーを強引に纏めて横になぎ倒し、包装の中身を漁るようにチェックし始めた。
「盗品だからって構ってられねぇや…! ともかくこの中から、少なくとも一体分のメダロットを組み立てるんだ!
4種のパーツ、ティンペット、メダル、それにメダロッチ…一揃えで無いのかよ!?」
手当たり次第に箱に手を伸ばし、包装を引き剥がしながら中身を確認する。
だが…ナオキの目に飛び込んでくるのは、どれもこれもパーツ、パーツ、パーツ…!
「くそォ…!」
あくまでコンビニの品揃えは、パーツのバラ売りが基本である。
元々メダロッターとして必須なメダロッチ、メダル、ティンペットを持っている人に対しての用意しかされていなかったのだ。
「それでも何か…何か…!
本当に何もねぇのかよッ!」
悔しさの籠もる拳で地面の砂を掻き毟るように握り締めると、ナオキはただそれを怒りのままに振るった。
手の甲をパイプで構成された折り畳み机に打ち付けると、その衝撃で僅かながらに奥へと傾く…。
机の足を留めていたピンが外れ、支えを失って奥へとバターンと倒れ…。
その机が倒れ際に引っ掛かった奥の新たなタワーをぐらつかせ、上の箱がいくつか地面に散らばり…。
そして、一番上の一回り大きな箱が、奇跡的な落ち方によって斜めになった箱の上で跳ね返り、ナオキの手元へと導かれるように滑ってきた…!
「こ、こいつは…!」
逆さまを向いたその箱を両手で抱えて、ひっくり返す。
どの箱よりも大きかった理由は他でもない、ティンペットとのセット販売だったから…!
「お前もここに運び込まれて来てたんだな…!
これも何かの縁だ、俺はお前の力を借りたい!」
"PO3・先行試作メダロット
アストレイ ブルーフレーム"―――。
それがこのメダロットのパッケージに、仰々しく印刷されていた名称だった…。
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