第一章・中編

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ぐるるるる…! すぐ真横で揺れ動いた茂みに向かって、シュガーちゃんが低い唸り声を上げ始める…! 「な、何ですの!?」 「ひー、わざわざ麓の町まで下山していくなんて、買い出しも楽じゃないロボよ…」 「当番なんだから文句は言わない約束ロボ! それに、もうアジトに戻ってきてるはずの同僚は、我々が買い出しに向かった間に隣町のコンビニでレアなメダロットを奪ってきたって、とっくに噂になってるロボ」 「本当ロボか? アイツも悪の組織の一員としての自覚ってモンがようやく身に付いてきたロボね! 」 「メダル採掘現場への出張任期を終える間近になって、本部への良い土産が出来たロボ! 我々も、篠更木支部チームの上官として、手柄を賜る事が出来るに違いないロボよ!」 「なんたって若手団員は我々が一から育てたロボからね! 今日は赤飯を炊いて前祝いと洒落込むロボ!」 「俺…この任務が終わったら、地元への転属を希望して、久しぶりに娘の顔を一目見てくるんだロボ…」 頭に金魚鉢を被り、薄緑の全身タイツに身を包んだ、奇妙な何かが現れた…それも二人。 「あの…もし?」 「お? ロボ」 ばうばうっ! ばうっ! とても楽し気に談笑していた為、目の前に少女が立ち尽くしているのも気付かず、声を掛けられた時には既にシュガーちゃんのリーチの中に入っていた。 シュガーちゃんが瞬発的に走り出すのに驚き、少女は一気に伸びきったリードを指先から外してしまう。 「ロボッ!? な、何するロボ!」 「こんな大型犬をどうにか出来る訳がないロボよー、それにあまりにも怖いロボ! は、はやくアジトへ逃げ込むロボよ!」 珍妙な二人組はシュガーに追い立てられ、成す術もなくその場でぐるぐると回るよう、踊りに踊った。 結局、どっさりと買い込んだようなコンビニの大きなレジ袋をその場に放り捨てて、少女に目もくれずに一目散に洞窟の中に逃げ込んでいってしまう。 「覚えてろーロボぉぉ…!」 「食い物の恨みは恐ろしいロボ! 後できっと思い知らせてやるロボよぉぉ…!」 「あらあら…何とも悪役然とした捨てゼリフですこと…。 シュガーちゃん、戻ってらっしゃい!」 ハッハッハッハッ…。 洞窟の奥まで追跡しようとした飼い犬を、一喝して呼び戻した。
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