第一章・中編

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説明しよう! この世界では、あらゆる問題事を合法的に解決する為の手段として、ロボトルが用いられる事があるのだ! この、勝負を仕掛けるという宣言や行動と共にメダロッチを見せるという行為は、当人に交戦の意志がある事を示している。 勝負を仕掛けられた側も、同じ仕草で返す事で合意を示す事が出来る。だが、あくまでロボトルを申し込む事自体には強制力はない。 メダロットを転送してロボトルを始める前なら、例えポーズを取った後でもロボトルを拒否する事が出来ると定められているので、他の法的手段で事の収拾を図る事も可能である。 それでも、ロボトルは一般的な交渉・説得手段として(主に話を聞かない人達に対して)、世間に広く認知されている暗黙のルールなのだ…! 「メダロット転送であります!」 セレクト隊員が足元に照射したレーザー回線から、メダロットが転送される…! 二体とも、一見は多脚型のように見えるが、四方に伸びた四肢の先にローラーを有している、車両型のようだ。 丸く滑らかなドーム状になったボディの外装に火器を取り付けてあり、背中に背負った大きなポッドと合わさって、どちらもまるで尾を立てたアリのような、生物じみた異質な印象を受ける。 「タチコマ、フチコマ、出動であります!」 『はーい、頑張りますから任せて下さい!』 子供そのものの高い声の音声を発しながら一歩だけ前に出た、青い方のメダロットが「タチコマ」、無反応なままでアイドリングしている方の赤い方が「フチコマ」と言うらしい。 「セレクト隊の方々、ロボトルをする前に少しだけお話しておきます。 貴方達がお探しの、ロボロボ団アジト…か、それともコンビニ強盗のアジトなのか分かりませんが、ともかくこの洞窟の中にあるようですわ」 腰に片手を宛てながら、少女はぶっきらぼうに顎でしゃくって示した。 「ほ、本当でありますか!?」 「嘘は申しません、私が言わなかったせいで貴方達が犯人を取り逃してしまっては、事が事ですもの。 それから、『コンビニ強盗の犯人と思しき人物の目撃証言』も、ロボトルの後でお伝えしましょう」 「むむ…、ご…ご協力に感謝するであります」 「クスッ、その台詞はロボトルが終わるまで取っておくべきではなくて? まぁ、本来ならメダロット社の犬はそうして市民様に恭しくかしづくべきなのですわ! 自分の立場が少しはお分かりかしら? ホーッホッホッホ!」
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