第一章・中編

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「ふっふっふ…それにしても、次々に支部を鞍替えして、そのついでに各地のコンビニ強盗まで働いて、極めつけにこうして子供を監禁して脅しているなんて…! 俺達、今までにないくらいの悪役をやってるロボ!」 「これまでのロボロボ団とは、規模も、実力も、ワルっぽさも、財源も何もかもが違うロボ! まさにスポンサー様々だロボ!」 ロボロボ団の本質は、幹部と団員という立場の隔たりの他には特に上部組織の存在しない、横の繋がりの広いアットホームなイタズラ集団なのだ。 彼らの武器に成りうるのは技術力ではなく、「ロボロボを1匹見つけたらもう30匹は潜んでいる」と言われるほどの、単純な人件力である。 彼らは表立って労働力を募集出来ない理由(大抵はロボロボ団と同じく世界征服の為の活動である)を持つ企業・団体をスポンサーに付け、それらを一時的な上部組織として扱い、命令・指示を遂行する対価として資金や設備、メダロットのパーツなどの提供を受けているのだ。 「オイラ、今までの安月給でもずっとロボロボ団を続けてて、本当に良かったって思うロボよ…!」 「オロチ博士率いる、四天王動乱期は本当に扱いがヒドかったロボ…。 うぅ、グスッ…。その頃になると、当時の幹部はみんなロボロボ団を抜けてしまったロボ…」 数年前にも、世界征服の野望を抱いて裏で暗躍していた男の下でロボロボ団が活動していた。 彼は科学者であり、個々のメダルの人権をほぼ認めている今日においてはタブー視されている「メダルの制御実験」の部分に足を踏み込み、その禁忌の分野で上がった多大な研究成果を用いて、メダロットを私兵化して軍力に転用したのだ。 だが、彼の配下として相応のメダロッターの素質を持った少年達「四天王」の圧力的な地方支配や、彼の非人道的なスタンスそのものが人々の反感を呼び、反勢力組織「リバティーズ」の反撃によって四天王はロボロボ団ともども再起不能となる痛打を与えられたのだった。 「泣くんじゃないロボ…! 俺達の本当の戦いはこれからだロボよ! そろそろゴウカザルの作業も終わるし、急いで片付けるロボ!」 「おうっロボ!」 トカゲの尻尾切りとでも言うような自らの立場を受け入れ、今日までしぶとく存続してきたロボロボ団…。 これこそが、現代においてのGを彷彿とさせる、愛すべき嫌われ者の逞しい後ろ姿である…。
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