第一章・後編

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左右に揺さぶるような軽快なステップでフィールドを駆けるゴウカザルの動きにナオキの動体視力が翻弄され、どちらから突っ込んでくるかが分からない…。 そのまま低い体勢から飛び込むようなアッパーカットを放ち、棒立ちのブルーフレームの腰のド真ん中に拳が打ち込まれた。 (対象に狙ってるメダロットだけを捉えているんじゃねぇ、メダロッターの目も撹乱させて、咄嗟の回避指示を出させないようにしてんのか…! 格闘が得意なメダロットにはこういう戦い方もあるんだな…) ナオキは今という危機的状況においても、敵メダロットの動きを見逃さなかった。 …というよりは、敵メダロットの特徴的な挙動に思わず反応して、注目してしまったような感じである。 例え相手がロボロボ団員だとしても、パートナーと意志を一つにして繰り出すその攻撃には、普段から特訓をしてモーションの熟練度を上げているだろうという事が窺える。 対して、自分達はどうなのだろうか? まだお互いをハッキリ認識していないような段階で、なりゆき任せにロボトルなんていうのは、やっぱり無理だったのか? 「うぐ…」 その葛藤は、ナオキに羨ましさのような感傷を抱かせた。 ブルーフレームは 集中して待機している…! (一定時間フォースチャージ、メダフォースゲージ+20) ブルーフレームは 継続のダメージを受けている…! 脚部装甲 -4 (35/65) ゴウカザルの なぐる攻撃 ファイヤー! ブルーフレームに 直撃した! ブルーフレームの 頭パーツに23ダメージ! (頭部装甲 -23 32/55) 「うわ…!」 とうとうゴウカザルの攻撃が頭パーツに入ってしまった。 あれほど攻撃され続けていれば、いつかは頭パーツにダメージが通ってもおかしい事ではない。 だが、頭パーツを破壊されたメダロットは、例え他のパーツが残っていようと即機能停止となる。 本来なら他のパーツを犠牲にしてでも守らなければいけない部位だけに、機能停止への秒読みを認識して、ナオキは表情を青ざめさせた。 「ブルーフレーム…!」 大きく縦方向に一回転しながら地面を転がり、大の字に横たわるブルーフレームの元に、ナオキは急いで駆け寄った。 あくまで自称とは言え、ブルーフレームのメダロッターとして、唯一自分に出来る事を探しながら。
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