第一章・後編

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『いくつか傭兵の鉄則というものを指南してやろう。 前のターンは右腕パーツを使わせて貰ったが、それはお前の行動を見てから判断したまでで、右腕パーツが使用不能にされるような可能性は無かったからだ。 こうしてどちらが直前に到達するか分からない状況で、既にダメージを受けている右腕パーツに頼る道理は無い…! 傭兵は一回のチャンスさえも無駄にはしないものだ。"敵は倒せる時に倒す"……現状において可能な限りに最大限の仕事をこなす、それが傭兵のやり方だ』 『ロ、ロボ…! マサカ 他ニモ 強力ナパーツガ…』 驚きおののくゴウカザルが後ろに後ずさると共に、行動を終了したと判断したブルーフレームが相手を追い詰めるようにアクティブライン上まで身を乗り出した。 『察しがいいな。傭兵の戦いとは、事前に用意した装備の全てを状況によって活用する事にある。 脚部パーツを破壊され、防御能力の低下したお前をここで逃がす事はない…!』 ブルーフレームの うつ攻撃 ガトリング! クリティカル! ゴウカザルの 右腕パーツに40ダメージ! (右腕装甲 機能停止 -40 0/40) 別のパーツに 貫通した! ゴウカザルの頭パーツに11ダメージ! (頭部装甲 -11 19/30) 『ロ、ロボボボ…!?』 待った無しに放たれる頭部バルカンの連射がゴウカザルを襲う…! 立ち込める砂埃が上がり、相手の姿が覆い隠されても、ブルーフレームは砂塵を吹き払うように左右に回頭しながら、掃射を続けた。 「ガトリング攻撃」に与えられる攻撃猶予時間の限りまで敵フィールドへと弾丸を打ち込むと、砂塵が晴れた頃には潰れたカエルのように仰向けに伸びている敵メダロットの姿があった。 「ゴウカザル!? お、起きるロボよ! まだ勝負は付いていないロボ…!」 メダロッターの意志に応えようとして地面に両手を付き、懸命に踏ん張って立ち上がろうとするゴウカザルだが、損傷の大きいボディが軋む音を立て、見るも無惨といった様子だった。 『まだ降参はしないか、その覚悟だけは褒めてやろう』 「お前だってさっき降参しそうになってたクセに偉そうにしてるんじゃないロボ! お前もそのマスターも、あまりに生意気すぎて癪に触るロボよ!」 「いやーあれはその…」 『御託はいい、さっさとケリを付けるぞ』
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