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下校の時間になり、いつも通りユイと校門前で別れ、姉ちゃんと家に帰る……はずだったんだが…
「なぜ、こうなる…」
俺は姉ちゃんの買い物に付き合わされていた。
付き合わされるだけならまだいい。父さんも母さんも、急に自分探しの旅に出るとか言って、いなくなってから、買い物も姉ちゃんが全部やり、飯もほぼ毎日姉ちゃんが作ってくれているし、そのへんのことで感謝してるから。
「いいじゃんっ、純くんと買い物なんて久しぶりだしっ!」
「いや、そこではない、そこはいいんだ。ただ……手を繋ぐ必要性について簡潔に述べていただきたい……」
今、姉ちゃんは俺の右手をがっしりと握っている。いくら姉だと言ってもドキドキする。男だからね。
姉ちゃんは紅い瞳を輝かせ、俺を覗き込むようにして見る。
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