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「実は私の友達で、佐竹教授のゼミに興味持ってる娘がいるんですけど、その娘もつれてきても良いですか?」
ふっと、肩の力が抜ける感覚がする。何を言われるかと思ったら、そんなことか
「いいよ、つれてきなよ」
「ありがとうございます。それじゃ、講義に戻りましょ」
真菜ちゃんはそう言うと、俺たちに背中を向けて、一足先に講義室に戻っていく
彼女が残していった香りを楽しみながら、俺はしばらくその場で、彼女の後ろ姿を眺めていた
……今日はなんていい日なんだ
真菜ちゃんと目を合わせて、こんなにたくさん話ができるなんて、バチが当たるんじゃなかろうか
「それにしても、あんなに怒るなんてなぁ」
「え?」
となりの男が、ふとそんなことをつぶやいた
言わずもがな、その男とは駿で
俺と一緒で、真菜ちゃんの後姿に送られていると思われていたその視線は、いつの間にか俺のほうに向けられていた
「何だよ…。その生あたたかい視線は…」
「いやぁ。なんつーかお前、そんなに俺に先を越されたくなかったんだと思ってな」
そこじゃねえよ、この鈍感野郎が
こいつのことは、親友だから、そりゃあ大好きだけど
いつか天罰が下ればいいと思う
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