覚えておきたいことがある

3/24
2519人が本棚に入れています
本棚に追加
/487ページ
「あれ?どこ行くの?そんなおめかしして」 家を出ようとリビングの横を通り過ぎた所を、後ろからそんな気だるそうな声がかかった 「お姉ちゃん…。今日、大学行ったの?」 「さぼった」 「もう…」 正直、聞くまでもないことだった。その人物は、リビングのソファーに寝転びながら朝見た格好と同じ格好をしてテレビを見ていた この社会不適合者予備軍みたいな人は、言わずもがな私の姉だ。にわかに信じたくはないけど、間違いなく同じ母親から生まれたお姉ちゃん 「そんなことより、どしたの?そんなおめかしして」 「別に…いつもと変わらないでしょ?」 「いやいや、いつもよりちょっと気合入ってるって。そのワンピもこの前買ったばかりのやつじゃん。何?デートでも行くの?」 ソファーから身を乗り出すようにして、私の顔をニヤケた表情で見つめてくる 「ち、ちがうわよ!バカ!」 私がそういうと、姉は、ニヤケ顔をより一層強化する 「ふぅん?」 どこか含みを込めたその笑いは、私の心を見透かしているようで、なんだか気持悪い なぜだか、この人にはいつも心の内を見透かされてしまう。姉妹だから仕方ないと言ったらそこまでだけど、私はそこまで姉の内心を見透かしたりなんかはできない
/487ページ

最初のコメントを投稿しよう!