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「あれ?どこ行くの?そんなおめかしして」
家を出ようとリビングの横を通り過ぎた所を、後ろからそんな気だるそうな声がかかった
「お姉ちゃん…。今日、大学行ったの?」
「さぼった」
「もう…」
正直、聞くまでもないことだった。その人物は、リビングのソファーに寝転びながら朝見た格好と同じ格好をしてテレビを見ていた
この社会不適合者予備軍みたいな人は、言わずもがな私の姉だ。にわかに信じたくはないけど、間違いなく同じ母親から生まれたお姉ちゃん
「そんなことより、どしたの?そんなおめかしして」
「別に…いつもと変わらないでしょ?」
「いやいや、いつもよりちょっと気合入ってるって。そのワンピもこの前買ったばかりのやつじゃん。何?デートでも行くの?」
ソファーから身を乗り出すようにして、私の顔をニヤケた表情で見つめてくる
「ち、ちがうわよ!バカ!」
私がそういうと、姉は、ニヤケ顔をより一層強化する
「ふぅん?」
どこか含みを込めたその笑いは、私の心を見透かしているようで、なんだか気持悪い
なぜだか、この人にはいつも心の内を見透かされてしまう。姉妹だから仕方ないと言ったらそこまでだけど、私はそこまで姉の内心を見透かしたりなんかはできない
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