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「じゃあ、行ってくるね、お姉ちゃん」
姉の呪縛を振り払うがごとく、私は無理やり話題を切ってリビングのドアノブに手をかける
「あ、ちょっと待ってナギ!」
だけど、その一声で私の手は止まってしまう。別に無視してそのまま行ってしまえばいいものを、どうしてか、姉の言葉には昔から逆らえない
「なによ?」
振り向く
すると、姉はいつ移動したのかと思うほど一瞬の間で、近くまで来て
「お守りあげる」
と、何かを私に手渡した
「何これ?」
それは袋だ。何かが入っているけど、セロハンテープでとじられているから中身は見えない
「お守りよ、お守り。困ったら開けな。あ、そのときまでは絶対開けちゃ駄目だからね?」
「そのときって…」
どのとき?と言おうとしたとき
「いいの?時間」
姉は。テレビの上に置いてあるデジタル時計を指差して言った
「あ…い、急がなきゃ!」
私は、その袋をカバンの中に乱暴に押し込めると
後ろから『ご武運を!』とか言ってる姉の言葉を無視して、急ぎ足で玄関に向かった
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