覚えておきたいことがある

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大学は、私の実家から電車で15駅 乗り換えがない駅付近にある大学で、家 を出てから最短で30分くらいで到着する位置にある 特段田舎というわけでもないけど、特段都会というわけでもない、そんな中途半端な街の中にある大学 今年で、通い始めて2年目になるこの大学。私は結構気に入っている 正門を入ると、まず目に入るのが大きな講堂 ここでは、時折吹奏楽部とか、ジャズサークルがコンサートのようなものをしている 少し歩みを進めると、講堂塔がいくつも続き、しばらくすると、野球やサッカーのグラウンドが見えてくる そのグラウンドを横目に見ながら、さらに歩きすすめていくと、そこには色々なサークルの部室塔が集まっているところがある。その付近には食堂や学生会館などの建物があるから、いつもたくさん人がいる そして、この時期になると、さらにこの付近での人の数は多くなるらしい なぜなら、この場所が大学構内にもかかわらず、大きな桜の木が何本も立っているところで、ちょっとした公園みたいなところになっているからだ 毎年この時期になると、いつもはあまり大学に来ないような人もこの場所に来るから通称『返り咲きの楽園』と呼ばれていると、去年まで入っていたジャズサークルの先輩に聞いたのを覚えている 「ちょっと、早く来すぎたかな…」 『今日、花見がこの場所であるから』 それだけをあの娘から聞いただけで、特に時間の指定を受けていなかった私は、その場所で立ち往生してしまった …よく考えれば私も私だ。ちゃんと時間を聞いておけばよかった あの娘の適当な性格なんて、もう随分前から分かっていることなのに やっちゃたなぁ。よく考えたら、絶対早すぎだよ、私… 「あ…」 そんな声が自然と自分の口から漏れたかと思ったら さっきまで『やっちゃた』とか『早すぎた』とか考えていた私の脳は、そんなどうでもいいことを考えることをすっかり放棄してしまい ただ、ひとつ 目の前で、せっせと何かの準備をしている人を見る それだけに機能を全部持っていかれてしまった
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