覚えておきたいことがある

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どうしてだろうか そのことがあって以来、大学の中で彼を見かけるたびに、自分の胸が自然と高鳴るのを感じて それがいつの間にか、講義中とか、家に帰った時にも彼の顔が頭の中に浮かぶようになってきて 挙句の果て、夢の中にまで出てきちゃって、一人悶えまくって そして、彼のことが頭に浮かぶときは、きまって顔が、体中が熱くなって… 誰だってわかる これは、明らかに病気は病気でも、ただの病気なんかじゃなくて 恋の病だってことくらい どうして、一度道案内をしてもらっただけの男の人に、こんな感情を抱くのかはわからないけど 誰が何と言おうと、私は 若竹先輩に恋をしていた それから彼のことを、ずっと遠くから眺めていた 広い大学の中、一人の人間を見かける確率はそれほど高くはないわけだけど、その回数は日ごとに増していっているのがわかった 講義室や学食で、彼を一目見るために、何時にどこに現れるか、彼の行動パターンが頭の中にインプットされていたのだ 別に、自分で調べ上げたわけではない。日を重ねていくごとに、勝手に覚えていったのだ だって、大学の中での私は、いつでも彼を探していたから… だけど、前述したように、私は男の人に対する免疫がない 大学に入学して1年、さすがに少しはましになったけれど、それでも男の人とは、挨拶くらいはしても、まともな会話はできていない そんな私が、この1年で意中の人に声をかけるなんてことができるはずもなくて 私はこの1年間 彼の背中を遠くから、眺めていることしかできなかった
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