episode 001

4/8
前へ
/236ページ
次へ
その日の夜、叶え屋は二人の後を追う。 悠華は、宰と腕を組ながら、楽しそうに歩いている。 「宰さん、今日はどうするの?」 「そりゃあ、少し酒も飲んだ事だし、君との愛を確かめたい所だね。」 「私も…毎日こうやって会っているだけじゃ足りない、毎日あなたの愛を確かめたいの。」 叶え屋は、二人の会話を聞いて、再び笑いを堪える。 「クっ…なんて馬鹿なやりとりなんだ。その裏で苦しむ人間の事なんか考えちゃいない。」 五感が優れている叶え屋は、2メートル離れた場所にいる二人の会話なら、余裕で聞こえる。 その2メートル離れた先にいる二人の会話が、馬鹿馬鹿しすぎて、笑わずにはいられない。 叶え屋が、笑いを堪えていると、二人がラブホテルに入る。 「さすがにここは…まあ、聞きたくも見たくもないから、今日はこれだけ収穫あったし…あとは願いを叶えて百万貰うだけだ…。」 叶え屋は、踵を返すと、自分の家がある暗い路地裏へと帰る。 叶え屋は、路地裏を通り抜け、街から少し離れている、誰も住んでいない通称「化け物通り」と呼ばれる場所に出る。 そこには、幽霊屋敷と言われる家があり、そこの少し大きめの家に、叶え屋は、先祖代々叶え屋になると、一人で住む。 叶え屋は、家に着くなり、堪えていた笑いを爆発させた…。
/236ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加