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叶え屋は、暗い夜道をゆっくり家へと向かっている。
遠くで、サイレンの音が鳴る。
「本当に、女の死体なんてあるのか?」
「さあ?でも、匿名電話もあったし、数件女の人の叫び声が聞こえると電話もありましたし…。」
「ガセじゃないか?わざわざこんな…。」
「警部!衣服を身に着けていない、女性の遺体が発見されました!」
「なに?!」
「木に磔になり、陰部には木の棒が挿してありました。レイプされたのではと…。」
「可哀想に…。」
新米刑事が、先輩たちの話しに耳を傾けている。
一生懸命、先輩たちに着いていくその刑事の横を、野次馬の中から出て来た、全身真っ黒な服に身を包んだ叶え屋がやってくる。
叶え屋は、何もなかったように、平然としている。
叶え屋と、新米刑事・若槻秋登が、すれ違った。
この日から、二人の人生が、大きく変化していくなんて、誰も知る由もなかった。
勿論、当の本人たちでさえも…。
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