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政治家である、大貫一二三(おおぬきひふみ)の事務所。
元秘書である男と一緒に、何やら話している。
「大貫先生。秘密を知られたくなければ、そうだなあ…500万円用意してもらえませんか?この不景気で次の仕事が見つからないんでね。私も困ってるんですよ。」
「500万円…。」
「政治家のあんただ、それくらいの金用意出来るだろ?それとも、“あの事”をバラしていいのかな?」
「わ、わかった…。だが、今回だけで勘弁してくれ。」
「ああ。」
それから半年間、大貫は元秘書である男に強請られ続けた。
「ニャー。」
「ああ、君か。おはよう。今朝は冷えるね。そろそろ冬になる時期。さあ、君は俺とはもう友人だ。家に入って、今日は温かい食事を用意するよ。ここに住み着いてもかまわないから。」
叶え屋は、路地裏で仲良くなった黒猫と、屋敷の敷地内で会話をした。
叶え屋の日課は、この黒猫への餌やりから始まる。
「…どうやら、行かなければ。君は、家に好きなだけいてくれ。」
「ニャー!」
叶え屋は、黒猫へと笑顔を向けると、颯爽とどこかへと歩いていく。
そこには、大貫事務所と書かれた看板がある。
「ここか…。」
「私の事務所に用かね?」
「…あんた、大貫一二三さん64歳で政治家…だよね?」
「そうだが?」
「あんたの願い…俺が代わりに叶えてやろうか。」
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