episode 002

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政治家である、大貫一二三(おおぬきひふみ)の事務所。 元秘書である男と一緒に、何やら話している。 「大貫先生。秘密を知られたくなければ、そうだなあ…500万円用意してもらえませんか?この不景気で次の仕事が見つからないんでね。私も困ってるんですよ。」 「500万円…。」 「政治家のあんただ、それくらいの金用意出来るだろ?それとも、“あの事”をバラしていいのかな?」 「わ、わかった…。だが、今回だけで勘弁してくれ。」 「ああ。」 それから半年間、大貫は元秘書である男に強請られ続けた。 「ニャー。」 「ああ、君か。おはよう。今朝は冷えるね。そろそろ冬になる時期。さあ、君は俺とはもう友人だ。家に入って、今日は温かい食事を用意するよ。ここに住み着いてもかまわないから。」 叶え屋は、路地裏で仲良くなった黒猫と、屋敷の敷地内で会話をした。 叶え屋の日課は、この黒猫への餌やりから始まる。 「…どうやら、行かなければ。君は、家に好きなだけいてくれ。」 「ニャー!」 叶え屋は、黒猫へと笑顔を向けると、颯爽とどこかへと歩いていく。 そこには、大貫事務所と書かれた看板がある。 「ここか…。」 「私の事務所に用かね?」 「…あんた、大貫一二三さん64歳で政治家…だよね?」 「そうだが?」 「あんたの願い…俺が代わりに叶えてやろうか。」
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