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ピンポーン。
叶え屋は、インターホンを鳴らす。
男が一人、チェーンロックをしたまま扉を開ける。
「はい…誰?」
「あんたの秘密の秘密を知ってるもんだ。」
「秘密の秘密?」
「ああ…バレたら捕まるような…ね。」
「…とりあえず入れ。」
「で、俺の秘密の秘密ってなんだよ。」
「あんたが、大貫一二三を恐喝してる事と、大貫一二三の横領。」
「…。」
「だから、大貫一二三からお前を始末するように頼まれた叶え屋だ。」
「始末…叶え屋?」
「ああ、お前はここで死ぬんだ。田邊剛士さん。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!横領した上に、俺を切ったのはあっちだ!!」
「まあ、言い分は沢山あるだろうね。依頼された俺自身も理不尽だと思っているが、一千万の報酬を貰ったから…やるしかないんだ。」
叶え屋は、淡々と話すと、突然田邊の目の前から消えたかと思うと、田邊の背後へと回ると同時に、田邊の口へと何かを押し込み、田邊は思わず飲み込んでしまった。
「な…何を飲ませた!」
「…毒薬。」
「毒薬だと?!」
「これは、叶え屋に代々伝わる特殊な毒薬。無味無臭で無色透明。まあ、若干体内に毒素は残るけど、しばらく時間が経てば、ただのビタミン剤の成分へと、人体であれば変化するから、検出はされない。」
「…。」
「ああ、こうしちゃいられない。あと、30秒くらいで毒が回るから、安心しなよ。ちなみに、その毒は睡眠薬が入ってて、寝てる間に心臓の動きを一瞬で止めるから、痛みもないし、そのまま逝ける…睡眠薬は検出されちゃうから、完全な毒薬ではないけどね。じゃあ、この世にお別れを言いながら、永遠に寝てればいいよ。」
田邊剛士は、ゆっくりと目を瞑り、眠りについた…。
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