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叶え屋は、黒い帽子にフードで顔を半分隠したまま、口元だけが見えている。
笑みを浮かべながら話しているのが分かった。
「…借金、返済出来るんだな?」
「ああ、報酬額は…そうだな。あんた無職だからなあ…何が払える?」
「俺には何にもねえよ。全財産は160円ってとこだ。」
「今回は金にならねえ仕事だな。じゃあ、あんたの大事なもんを貰うよ…。」
「大事なもんなんかねえよ。」
「…あんたの人生を貰うよ。言っただろ?俺は何でも知ってるって。」
「わかったよ。それで借金から逃れられるなら…。」
「報酬は、あとから貰うよ。逃げても、居場所はすぐ分かるからな。今日の夜、早速実行する。」
その日の夜、叶え屋は辻本が借金をしている闇金の事務所、全てで5件を回り、壊滅状態にしたあと、警察へと電話をした。
「0時55分…悪魔の願いは叶った…。さて、報酬を貰いますか。」
叶え屋は、辻本のいる公園へとやってきた。
「まさか、ホームレスの願いを聞くなんて…。」
「ホームレスで悪かったよ、叶え屋さん。」
「ああ、辻本さん。それでは、報酬なんだけど…君の罪って事でどう?」
「俺の?」
「そう。命が惜しかったら、君が隠してる麻薬の所持と売買の罪。それを償え。」
「そんな事まで…そんな事したら、俺の人生はどうなるんだ!」
「知らないよ。それとも、あんた死にたいの?」
叶え屋は、淡々と話し続ける。
「さあ、選べ。警察にこのまま行くか、命を捨てるか…。」
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