episode 003

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叶え屋は、黒い帽子にフードで顔を半分隠したまま、口元だけが見えている。 笑みを浮かべながら話しているのが分かった。 「…借金、返済出来るんだな?」 「ああ、報酬額は…そうだな。あんた無職だからなあ…何が払える?」 「俺には何にもねえよ。全財産は160円ってとこだ。」 「今回は金にならねえ仕事だな。じゃあ、あんたの大事なもんを貰うよ…。」 「大事なもんなんかねえよ。」 「…あんたの人生を貰うよ。言っただろ?俺は何でも知ってるって。」 「わかったよ。それで借金から逃れられるなら…。」 「報酬は、あとから貰うよ。逃げても、居場所はすぐ分かるからな。今日の夜、早速実行する。」 その日の夜、叶え屋は辻本が借金をしている闇金の事務所、全てで5件を回り、壊滅状態にしたあと、警察へと電話をした。 「0時55分…悪魔の願いは叶った…。さて、報酬を貰いますか。」 叶え屋は、辻本のいる公園へとやってきた。 「まさか、ホームレスの願いを聞くなんて…。」 「ホームレスで悪かったよ、叶え屋さん。」 「ああ、辻本さん。それでは、報酬なんだけど…君の罪って事でどう?」 「俺の?」 「そう。命が惜しかったら、君が隠してる麻薬の所持と売買の罪。それを償え。」 「そんな事まで…そんな事したら、俺の人生はどうなるんだ!」 「知らないよ。それとも、あんた死にたいの?」 叶え屋は、淡々と話し続ける。 「さあ、選べ。警察にこのまま行くか、命を捨てるか…。」
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