episode 003

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叶え屋は、ポケットから薬を取り出し、辻本の口元へと持っていく。 「な、なんだよ。それ。」 「これは毒薬。これを飲んで死ぬか、警察に出頭してまともになるか…。選べ。」 「そ、そんな!話が違う!!俺はどっちも嫌だ!」 叶え屋は、呆れたように溜め息をつくと、ガシガシと頭を掻いた。 「あのなあ…お前は俺に払う金がない。報酬は貰うと言ったはずだ。金のないお前を殺さないと、俺的には気が済まない位のタダ働き。それを、警察に出頭する方を選ばせてやるって言ってんだ。人生そんな甘くねえ。人生なめんな。さあ、選べ!!」 辻本は、その場にへたり込む。 「わかった…麻薬の罪を認めるよ。」 「嘘をついたら、俺はお前を殺しに行くぞ。」 「ああ…。」 辻本はその日、警察へと麻薬取り引きをしていた事を自首するため、出頭した…。 「ムーン、ただいま。寒かったね。ミルクを温めるよ。」 「ニャー!」 「なんでか、今日は良い事をしてしまったよ。この俺が…笑っちゃうだろ?」 「ニャーニャン!」 「ホントに?笑わないかい?ありがとう。君は優しい黒猫だね、ムーン。明日は、どんな願い事だろうね。」
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