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黒ずくめの叶え屋と呼ばれる人物が、路地裏の黒猫と戯れている。
「今日は、どんな願い事だろうね?君はどう思う?」
「ニャー?」
すると、叶え屋は急に立ち上がり、黒猫に別れを告げると、どこかへ消えていく。
一人の主婦が、暗い顔をして、黒いオーラを身にまとい、路地裏を歩く。
「…あら?ここは一体…。」
「あんた…専業主婦で、年齢37歳。三沢今日子さん?あんたの願い、俺が叶えてやろうか。」
叶え屋が、今日子の前に突然現れ聞いた。
「私の…願い?」
「そうだよ。」
「あなたは一体…。」
「俺?俺は叶え屋。非現実的な事以外なら、金さえ払ってくれれば、可能な限り、他人の願いを叶えるもんだ。あんたの願いを叶えてやる。」
今日子は、叶え屋の言葉に揺らぐ。
そして…
「私の願いは、夫に近づいてきた、浮気相手の女に制裁を与えてほしい。顔も知らない女…そいつに死を…。」
「解った。願いを叶えるために必要な金は、百万。」
「ひゃ、百万!?」
「払えなければ、お前の願いは聞けない。」
叶え屋は、顔が見られないように、下を向きながら、淡々と話していく。
「百万払って願いを叶えるか、このまま惨めなまま暮らすか、どっちがいい?」
「わかったわ。こうなったら、夫の貯金から百万引き出して払います。」
「契約成立だな。」
叶え屋は、そう一言言うと、不適に笑いながら、いつの間にか今日子の前から消えていた。
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