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沖津家に着くと先に来ていたようで岩崎先輩が門の前で本を読んでいた。 ……。 他人の家の前で本読むなんて、どんだけ本好きなんだよ。 「おはようございます。先輩はやっぱり早いですね」 誰よりも先に来ているのが先輩のイメージだ。 「あら、またのんびりとしたご到着ね」 パタンと閉じた本を持っていた手提げかばんの中にいれて挨拶を返してくれる。 だが、集合時間にはまだ余裕があったはずなのだが。 「なにやってるんですか?」 「何って……本を読んでいるのよ。どうかしたの?」 そんな答えありかよ。 もう一度言うが、ここは他人の家の門の前です。 「沖津、待ってるんじゃないんですか?」 「舞ってるの?」 「いえいえ。舞ってはないんじゃないんですかね」 「待ってないならいいじゃない」 「……」 絶句してしまった また本を取り出して読み始める先輩。 なんか良いように言いくるめられた感じがするぞ。
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