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「あのとき、掃除の件についてぜんぜん聞いてなかったんだよね」 「えぇ!?」 いやな予感が的中した。あのとき、本に没頭してたんだもの。 今の言葉が本当ならば、普通にそうなるしね。 「何をまるでマメなハート鉄砲をくらったみたいに驚いてるの?」 「マメなハート鉄砲とはいったい!?」 どんな鉄砲だよ!しかも生真面目に打ってくるのか。 「でも、本を読んでるときに話しかけられたら適当になっちゃうって普通でしょ?」 「うっ……ええ。まぁ」 実際にそんなことはあった気がする。だけどもう少しばかり考えて行動してほしい。 「だから、というか。今日掃除したくないのよ」 ばっさりだった。 「いや、やってくださいよ」 「やだ!」 「子供ですか……。きっぱり断らないでください」 「ちょっと今日用事があって…つまり、えーとまぁ。あのー」 「回りくどく逃げようとしてもだめでしょう。あなたが許可出してしまったんだし」 「うぅ……仕方ないよねぇ」 何とかちょっと不服そうだけど説得できたようだ。 とりあえず門の前で長時間無駄話をするわけにもいかないのでインターホンを押す。 ピーンポーンと無機質な音が鳴る。
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