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都内某所
とある一軒家の一室
「あーあ……」
きちんと整頓された勉強机の上に自分の携帯電話を置き、その部屋の主である青年が、座っている椅子の背もたれに寄り掛かる。
見たところ痩せ型のその青年の体重を乗せられただけで、苦しそうにギシギシと呻き声を上げるその椅子は、既に寿命を迎えていることを明確に報せている。
しかし青年はいつも通り、その断末魔とも取れる叫びを完全に無視し、机に足を乗せて椅子の背を更に傾ける。
「佐々原……」
細めた目を僅かに落とし、青年は大きな溜め息を吐く。
そして、彼から見て右側の壁に貼られた、何人かの男女が笑いながら写る集合写真を見て、自分以外に誰もいないその部屋で、ぽつりと独り言を呟いた。
「紙飛行機、ねぇ……」
写真に写る複数の男女は、皆一様に紙飛行機を片手に掲げていた。
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