第一章・探偵と不幸な男

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  飛行機のような形に折られた、白い紙。 「紙ヒコーキ……?」 自転車の無事を確認した純一は、首を傾げながらその紙飛行機を拾い上げる。 そしてそれが何の変鉄もないただの紙飛行機だということを確認し、不意にそれを近くの池の方へと投げてみる。 「ふふ……懐かしいなぁ」 そんな独り言を呟き、再び自転車を跨ぎつつも、彼は空を裂いて飛んでいく紙飛行機を見つめる。 そうしてそれが池に落ちるのを確認し、その場を立ち去ろうとした、その瞬間、彼は何か違和感のようなものを感じ、再び紙飛行機の落ちた辺りに目を遣った。 「なっ……!」 彼の視線の先、紙飛行機の落ちた大きな池の水面に、人の形をした何かが浮かんでいた。  
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