第一章・探偵と不幸な男

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  「おい、君ィ!」 「ひぃっ!」 突然の声に驚き、純一は危うく自転車ごと倒れそうになる。 体勢を立て直しながら純一が振り返ると、明らかにジョギング中といった様子の緑のジャージ姿の男性が立っている。 「今、紙飛行機を投げただろう。ちゃんと取りに行きなさい」 「いや、あの……」 男性は首の後ろに回したタオルで汗を拭い、あたふたする純一に詰め寄る。   「ちゃんと見ていたんだからね。誤魔化そうとしたって無駄だよ」   そう言いながら、男性は紙飛行機の落ちている池に目を向ける。   「ん……何だあれは!」   「あ、あの……!」    段々と青ざめていく、男性の表情。彼は紙飛行機と純一の顔を交互に見つめながら、ゆっくりと後退りする。   「おま……まさか……例の!」   「え? いや! 違いますよ!?」   その時、必死に誤解を解こうとする純一の後ろから、また別の足音が聴こえてきた。  
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